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第6回FD報告会(第2回文学部FD研究会)の開催報告

 2010年度第6回「FD報告会」は、11月24日に開催された「2010年度第2回文学部FD研究会」を全学に公開する形で実施されました。当日は、教員14名、事務職員3名の計17名が参加しました。

 今回は、文学部FD研究会の2010年度年間テーマである「学生が"学び"を実感できる教育の実現をめざして」に基づき、具体的には「質の高い初年次教育をどのように実現するか」という課題を設定し、学外から講師をお招きして、他大学における初年次教育の取り組みについてお話しいただきました。

 最初に、文学部FD活動推進委員会委員長の安藤徹氏が、これまでの文学部FD研究会の歩みとともに、本研究会の趣旨説明を行いました。次に、同委員会委員で、今年度委員会内に設置した学修(教育)ワーキンググループ代表の出羽孝行氏が、ワーキンググループで中心的に検討してきた龍谷大学文学部における初年次教育の現状と課題について概説されました。さらに、今回の企画の目的について、現状の課題に対する解決策を見いだし、より実現性の高い、かつ効果的な初年次教育を検討する手掛かりを得るべく、他大学での先進事例を学ぶことにあるとの説明がなされました。その上で、独自性のある初年次教育に取り組んでおられる、同志社大学商学部の谷本啓先生にご講演いただきました。

 「同志社大学商学部の初年次教育-学生と教員の「幸せな出会い」をどう達成するか-」と題する講演では、実際に行われている初年次教育の講義内容やその教育効果の分析、さらには今後の課題などが示されました。その中で、最も重要なこととして語られたのは、「商学部」への帰属意識の涵養と学生が自主的に学びあう条件(環境)を作り出すことという、同志社大学商学部における初年次教育の意義でした。

 講演後の質疑応答では、本学文学部で実施している初年次教育と比較しながら、同志社大学商学部における初年次教育導入のきっかけや科目担当者の配置のしかた、あるいは今後参考にしたい内容などについて、多くの質問が出されました。講師の谷本先生には、時間の許すかぎりご回答いただき、たいへん有意義な研究会となりました。

安藤徹 文学部FD活動推進委員会委員長のコメント

 2007年度から開催している文学部FD研究会ですが、今回ははじめての試みとして、学外から講師をお招きし、他大学の取り組み事例を学ぶ場といたしました。それは、自分たちの実践報告だけではなかなか気づきにくい問題点や改善の可能性を見いだす契機になるのではないか、と考えたからです。
実際、同志社大学商学部の初年次教育の取り組みは、客観的な条件が異なることもあり、これまで私たちが考えてきたコンセプトとはかなり違うところがありました。たとえば、学修スキルの習得ではなく、学生の帰属意識を涵養し、学生が学び合う環境を作り出すことを主な目的としていることや、あくまでも選択科目として開講し、全員一律履修型ではない教育を行なっていることなどが印象的でした。私たちは、むしろ学修スキルを含めた大学での学びの"サバイバル・キット"を身につけさせることが、初年次教育の一義的な意義であり、必修・全員一律こそがあるべき履修形態ではないか、と考えていたからです。異なる発想、異なる視点での展開を教えていただき、改めて初年次教育のあり方について、広く、深く検討するよい機会となりました。
時間の都合で充分な質疑応答の時間がとれなかったこと、また開催日時の影響か、参加者が多くなかったことは、とても残念でした。研究会のあり方自体も、さらに改善が必要です。